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従来の野外彫刻の多くが石や金属,あるいは紫外線対策を施した樹脂等を素材としてつくられてきたのは,作者の意図もさることながら,それらの素材が太陽光や風雨に対して十分な耐候性を備えているからに他ならない.一方ファイバーアートやクレイワーク,漆造形の世界においてこれまで多くの彫刻的規模の大がかりな表現が試みられてきたが,それらのほとんどはいずれも基本的には屋内での発表を前提としてきた。いわゆる漆器に代表されるような作品は木材を胎としているため極端な乾,湿によって内部が膨張,収縮を繰り返すために表面がひび割れるという弊害から過酷な環境は敬遠されてきた。特に漆造形は,他の素材に比して制作過程に於いて多大な手間と時間及び特殊な技術を要して作られるために一種の宝物的価値さえ付与されてきたため屋外での展示(ごく短い期間を除いて)に対して消極的にならざるを得なかったという面もある。古来日本の漆文化は食文化や調度品を中心に主に屋内の生活空間を取り巻くように発展してきたがその輪を少し広げて屋内と屋外の接点:境界とも言える縁側を展示の場としたいというのがこの作品のねらいである。 屋内でもない屋外でもない自然環境を巧みに取り込むと同時に季節の変化に柔軟に対応出来る機能を備えた日本建築の特徴的な空間/縁側での漆との新たな出会いを求めようというのが今回の試みである。

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