Contact detail

Although a huge amount of styrene trays are consumed and disposed on daily bases, their forms that have been simply but precisely designed for the purpose of protection of foods are very beautiful. URUSHI's gentle warmth of touch redefines the forms that are too fine to waste.
土岐謙次 漆器展「捨てられないかたち」
2009年9月5日|土|−19日|土|
GalleryGalley


捨てられないかたち
Sainsbury's Organic Mango x4
イギリスのスーパーで購入したマンゴーのトレイの石膏型による脱乾漆・ 漆仕上げ
180mm x 150mm x 40mm
2006


捨てられないかたち
Sainsbury's Organic Mango x4 - Lid

イギリスのスーパーで購入したマンゴーのトレイの透明フタの石膏型による脱乾漆・ 漆仕上げ
180mm x 150mm x 20mm
2006


捨てられないかたち
国産若鶏もも肉(小)150g
鶏肉のトレイの石膏型による脱乾漆・漆仕上げ 195mm x 120, 145, 170mm x 30mm
2006

捨てられないかたち
国産若鶏もも肉(大)(中)(小)

鶏肉のトレイの石膏型による脱乾漆・漆仕上げ 195mm x 120, 145, 170mm x 30mm
2006

捨てられないかたち
国産うなぎ蒲焼き1尾
うなぎのトレイの石膏型による脱乾漆・漆仕上げ 320mm x 100mm x 20mm
2006

捨てられないかたち
納豆
納豆のトレイの石膏型による脱乾漆・ 漆仕上げ 95mm x 95mm x 30mm
2006

捨てられないかたち
金鶏卵4個入り
鶏卵のパックの石膏型による脱乾漆・ 漆仕上げ 100mm x 100mm x 40mm
2006
 
土岐謙次氏は漆工によるダイナミックな造形物で印象的な作家です。彼はそもそも液体であるという漆の物性に注目し、それをそのままの形態、つまり「流体」として表現します。結果その造形物は、航空機やレーシングカーのような機能を研ぎすました工業デザインに自ずと含有される「美」の成分を抽出した、それ故に、風や草木や水の流れのような自然界の動体のもつ清冽な印象をも感じさせ、観る者を新しい自然観を伴う今日的な美の世界に誘います。
実際に、彼はCFRP(炭素繊維で補強された樹脂。軽量かつ高剛性で、最新の航空機やスポーツカー等に使われている)やラピッドプロトタイピング(3DCGデータをもとに
完全な機械制御で光硬化性樹脂をレーザーで硬化させる造形技術。通常型抜きができないような形状を簡易に造形できる)等の、工業デザインにおいても特に先端的な素材や造形技術に興味を持ち、これらを駆使することで漆工芸の可能性を拡げ、ひいては今日のアプライドアートのあり方を問い続けています。
土岐謙次 漆器展【捨てられないかたち】本展では、彼は塗装を施す対象としてこれまでとは対照的にスーパーマーケットでみられるスチロールトレイやパックといった、極めて日常的であまり顧みられることのないものを見いだしています。なぜ彼はそこに着目したのでしょう。実はこれらは、如何に低コストに、より省資源に、より軽量に作り、確実に中身を保護し、かつ商品として美しく見せなければならない、という切実な設計要件に最適に対応されたものであり、その意味でこれらもまた「機能を研ぎすました工業デザイン」なのです。通常これらは、最小限の要素で中身(=商品)をディスプレイしている為、中身を取り出すと同時に魅力を失い、実際にも、また情感的にも「ゴミ」になってしまいます。が、時としてそこに簡潔な機能性に宿った「美」を感じてしまうことがあります。本展の作品はそんな彼の「捨てられないかたち」なのです。
これらの作品は彼によって見いだされたかたちが、乾漆技法によって忠実に置き換えられることで形作られています。一見ゴミに見えてしまうかたちが、愛着の伴う質感を持っていること、このギャップこそが作品の面白さだと考えます。が、なぜ彼がこの技法を採ったのかを考えてみるのも面白いと思います。私は、彼があえてこの「伝統的な手法」を「見いだしたかたち」に適用し「日常に使える漆器」として発表することに「今日でも漆工芸の手法や美意識は美術館のためのオブジェではなく、道具としてダイレクトに現代の日常の生活にコミットできるはず」という彼のアプライドアートに対するスタンスを読み取り
ます。また同時に工業デザイナーとして、このことに強く共感を覚えます。
かつて工芸とデザインはとても密接だったと思います。かたや美術工芸と社会との関わり
における機能不全、かたや工業デザイン(=大量生産)のもたらした環境負荷、と今日それぞれを取り巻く状況を顧みると、今、双方に求められている価値はそうかわらず、改めてそこに接点を持ち得るのではないでしょうか?
勝又良宏|工業デザイナー
 
 
 

 

Research
Press

[Diary in UK] [Home] [Infomation] [Profile] [Artworks] [Research] [Articles] [Blog] [Press] [Studio]

mail@kenjitoki.com   copyright@ 2013 Kenji Toki@ Kenji Toki Studio